SIONetは、世界初のP2Pテクノロジーの一つであり、さまざまなP2Pサービスに適用可能なP2Pプラットフォームです。 1998年に考案されたSIONetは、さまざまな属性に基づいて「同好の志を発見」し、「それらとグループを動的に形成」し、 「グループ内で情報やサービスを共有」すること、および、グループ間のシームレスな連携が可能な「次世代コミュニケーションツール」です。
SIONetでは、ホストのことをエンティティと呼びます。エンティティは、IPアドレスのような固定的な識別子を有していません。 これに代わって、たとえば、「野球に興味がある」、「医療情報を提供できる」といった意味情報を用いて、各エンティティには動的でフレキシブルな識別子が付与されます。 そして、「野球に興味がある」という識別子を持つエンティティに対して、イベントを送信するのです。すなわち、従来の「誰に対してイベントを送る」という通信方法に対し、 SIONetは「どういう人にイベントを送る」という新たな通信パラダイムを提供するものです。
SIONetでは、このような新たな通信パラダイムを実現するために、「緩やかさ」と「局所性」の追求をキーコンセプトに、連鎖反応機構(メタデータに基づくイベントの転送機構)、 自己組織化機構(ブローカレスでネットワークを自己形成する機構)、アプリケーションの共有機構、 セミピュア機構などの特徴的な機構を提供しています。なお、SIONetが提案する意味情報の記述言語としてXMLを用いることができます。
SIONet: Semantic Information Oriented Network